ドナルド・キーン著
土屋政雄訳
中央公論社出版
ISBN4-12-403220-X C0391
ルース・ベネディクトはその名著『菊と刀』の中で
西洋文化と対極にある日本文化として
ご恩と義理という概念を提唱することに成功しました。
文化の相対化という試みは広く支持を受け
比較人類学の分野において多大な影響を与えました。
サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』を紐解くと
冷戦後の世界情勢が7つないしは8つの文化圏からなり
将来的にお互いが衝突しあうだろう…との予測が立てられ
その主張は地勢学上な側面からネオコンの行動原理のひとつ
…とさえ言われていたりします。
山本七兵の『日本人とユダヤ人』は
ユダヤ人から見た日本人という触れ込みで
日本の文化と日本人を異なる視点から描いたことで
大きな評判を呼び、日本における比較人類学の普及に
大きな功績をあげました。
ピーター・ドラッカーの一連の著作群
例えば『経営とはなにか』『現代の経営』などは
欧米よりもむしろ日本において評価され
企業における目標管理を提唱し受け入れられたことで
今日の日本企業を語る上で欠かせない要素だと思います。
そしてドナルド・キーンの『日本文学の歴史』。
良く大学入試などで取り上げられることが多い著者ですが
主張が明確で判りやすいことはもちろん
その圧倒的なまでの日本文学の造詣には驚くばかりです。
特筆すべきは日本文学の歴史に関して
彼自身の手で平安朝の物語から明治の文豪まで
彼ひとりで論じているということです。
どれだけ時代が違っていようとも
彼自身のスタンスが変わらないため読み易く
とても興味深いものでした。
ぶっちゃけ暇だから図書館から借りて
現在、読んでいる途中だったりするのですが
日本文化に対して…ものすごーく造詣が深いのね。
1巻の最初のほうに歴史順で
日本文学の特徴について書かれていたんですが
源氏物語や更級日記などを引き合いに出しながら
単に時代的背景や作者の実像に迫るだけではなく
日本文化の柔らかさというか
その特徴と思想的な源泉がどこにあるのか…など
なんか土下座して謝りたくなるぐらい
素晴らしい評論が書かれていて溜息が出ました。
いや本当…凄いです。
ただただ圧倒されるばかりなので
もっと勉強しなくちゃと思わされます。
まぁ。
どうせ気が向いたときしかお堅い本は読まないんだけどね。
これ、セットで揃えたいけどお金が…orz

