2009年07月09日

酸素は鏡に映らない



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酸素は鏡に映らない
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :

[タイトル] 酸素は鏡に映らない
[著者] 上遠野 浩平
[種類] 単行本
[発売日] 2007-03
[出版社] 講談社

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君も世界の支配者に?
「それはどこにでもある、ありふれた酸素のようなものだ。
もしも、それを踏みにじることを恐れなければ、君もまた世界の支配者になれる──」
ひとけのない公園で、奇妙な男オキシジェンが少年に語るとき
その裏に隠されているのはなんでしょうか?
宝物の金貨のありか? 未来への鍵?
それともなにもかもを台無しにしてしまう禁断の、邪悪な扉でしょうか?
ちょっと寂しい姉弟と、ヒーローくずれの男が巡り会い
“ゴーシュ”の秘宝を探し求めて不思議な冒険をする
これは鏡に映った姿のように、あるけれどもなくて、ないけれどもある
どうでもいいけど大切ななにかについての物語です──
あなたは、鏡をどういう風に見ていますか?
紹介サイトより抜粋

かつて子供だったあなたと少年少女のため…と題されて
豪華執筆陣による全編書き下ろしが驚きの
講談社ミステリーランドの中からの一冊になります。
というか…全然知らなかったけど凄いラインナップですね。
講談社 BOOK 倶楽部:ミステリーランド

かつて江戸川乱歩による怪人二十一面相や
赤毛のアンなどの世界名作劇場が占めていた
少年少女のための読み物…といった感じで
いろんな作家が判りやすく噛み砕きつつ
しっかりとした物語を提供しようという試みなのかな。

小学校高学年から高校生あたりにかけて
文体の砕けたライトノベルを読みあさるのも
決して悪くはない選択だと思いますが
まだ柔軟な心と自由な発想を持つ子供にこそ
上質な読み物を…という危機感もあるのでしょうか?

執筆陣や作品タイトルの豪華さに
講談社の意気込みが伺えます。
つか、本気すぎて怖いわw
終わってしまった世界と、これから始まる世界と
ぼくらはいつだってその間に立っている。
それは子供だろうが大人だろうが、きっと変わることのないものだろう。
少なくとも、ぼくはその辺に関しては全然成長の跡がない。
もちろん守れなかったものもあるし
どう考えても無駄なことにこだわっていたとしか思えないこともある。

思っていたよりずっと面白かったことも
期待していたよりもしょぼい結果に終わってしまったこともある。
で、思い通りになったことなんて滅多にない。
しかしそれでも、人間が生きて行くには酸素を吸わなければならない
というような、変えようのないこともきっとあるのだろう。

ひとりひとりの心の中の、他の世界がすべて滅びようとも
それだけは守らなくてはならないもの
──それを知ろうとすることが、つまり生きるってことなのかも、とか思ってみたりもして。
本書後書きより

後書きには定評のある上遠野さんですが
本書もその例に漏れず 読み応えのあるものとなっています。
そして読者の対象年齢を幾分下げながらも
その本質がいつもの上遠野節であることさえも
よーく ご理解して頂けるかと思います。

例によってその作品世界の繋がりは
本書だけに留まらず 他の作品にまで広がっていますが
そんなことをいちいち考えなくても
この作品はそれだけで完結していますし

正しい意味において少年・少女のための作品と
言い切るに相応しいだけの品質を持っていると思います。
つか…正直、驚きました。
惰性で買い続けていた長期シリーズにはない
新鮮さがそこにあったというか
上遠野浩平さんの魅力を
今さらながらに再認識させられました。

どこか行き止まりを意識しつつも
そこから抜け出せずに足掻いていた人が
何かのきっかけで非日常の世界に踏み込み
それまでの状況を一変させるような
非現実的な体験をしてしまう。

言ってしまえばただそれだけのことなんですが
今回の主人公が小学5年生で
目線がかなり低いことに加えて
曰くありげな語り口で
作品世界を丁寧に彩ってくれるため
すんなりと物語に集中することができました。

偽物が本物を凌駕した本末転倒な
エンペロイド金貨などの小道具も素敵でしたし
寺月恭一郎にオキシジェンなど
いつもの方々にも美味しい出番が用意されています。
魔女と死神は出てきませんけどね。

何より驚いたのは上遠野さんの作品で
未だに私が心を動かされることがあった…という
かなり失礼な感想だったりするんですが

過去の作品に対する懐かしさからではなく
作品そのものの魅力によって
そう感じることができたというのは
私にとってとても幸運なことだと思います。

──それにつけても金の欲しさよ。
などと余韻ブチ壊しなことを言いつつ
こうなるとミステリーランドの
他の作品群にも興味が出てきますよね。
posted by のあなな at 22:53| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 好きなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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