2007年05月20日

妖精王の月


n11.jpg
妖精王の月
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] 妖精王の月
[著者] O.R. メリング (著), O.R. Melling (原著), 井辻 朱美 (翻訳)
[種類] 単行本
[発売日] 1995-02
[出版社] 講談社

>>Amazon.co.jp で商品を確かめる
「不公平だわ」グウェンはぼやいた。
「コンビのかたわれしかいなくて
 もう負けが見えてきた試合みたい」


そなたの答えがノーでも、彼女の答えはイエスだ。
わたしは〈人質の墳墓〉から花嫁を連れていく。
フィンダファーを寝袋もろともさらいあげると
妖精王は塚山から去った。

タラの丘の〈人質の墳墓〉でキャンプした夜
別の世界にあこがれるいとこ
フィンダファーが妖精王にさらわれる。
翌朝からグウェンのいとこを連れもどす旅がはじまる。
妖精たちとの絶妙な出会いに助けられながら。

だがケルトのフェアリーランドは
グウェンにとっても魅力ある世界だった。
カナダの青少年がその年、一番おもしろかった本を選ぶ
ルース・シュワッツ賞の1994年度受賞作。
本書カバー裏より

この感動をなんと表現したら良いのやら!
良質の作品に出逢うと私は思わず大声で喚きたくなります。
より正確には笑みを押し殺して
布団の中ででごろごろ転がりつつ
おもむろに立ち上がってガッツポーズを決めたくなる感じです。
いや本当に…この作品は素晴らしいですよぅ。
この物語に触発されて主人公達のように
アイルランドにあるタラの丘で野宿を試みようとする
少年少女が続出したってニュースがあったのも納得できます。

物語のストーリーも魅力的でぐいぐい引き込まれますが
翻訳もまた素敵で思わず溜息が出てきます。
テンポが良くてすらすら読めるのも流石ですが
色鮮やかに綴られるアイルランドの情景も素晴らしすぎ。

うちぶられた古城跡や
幻想的で静謐な湖畔に潜む危うさ。
牧歌的な草原の風景など
ケルト文化の影響を色濃く残す
アイルランド独特の景観が印象的でした。

さらに妖精達の描写がまた素晴らしいんですよぅ。
御伽噺そのままに夢見るような衣装も素敵な舞踏会に
みんなが陽気に喜び合う
にぎやかで明るい妖精達の馬鹿騒ぎ。
ことさら食べ物が美味しそうなことと言ったら!
さらにはジプシー風の音楽にあるような
荒々しくもどこか物悲しい印象を抱かせる演奏会などなど。
流石っていうか…素晴らしすぎ!!

旅先で出逢う小さな親切と
現在に残る妖精達の小さな痕跡。
優しいだけじゃなく
時には残酷な妖精達の悪戯を描きつつ
妖精界と現実の狭間で
主人公の少女グウェンは何を選ぶのか?
本当に興味深かったです。

「それは無理よ。問題にもならない。
 あたしの一部はそうしたいと思っているけれど
 それはあまりにも無謀だわ。
 あたしは小さいころからずっと別世界を求めてきて
 今それを見つけたわけだけれど
 すばらしすぎて信じられないくらい。

 ほんとうよ。
 でも……見つけてみると
 あたしはただそこをのぞいてみたいだけだったとわかったの。
 つまり、もとの世界は、うんと楽しいというわけじゃなかったけれど
 けっしてそこを捨てようと思っていたわけじゃないことが」

繊細な感受性と優しさを持ちあわせつつ
賢くて行動力もあるけど
甘いものの誘惑にはちょっぴり弱い
主人公のグウェンがとても可愛いんだ…これが。

従姉妹のフィンダファーは
同じように繊細な感受性を持ちつつも
どこかクールで厭世的というか
妖精王に見初められたせいなのか
ばっちり妖精達に染まってしまいます。

同じように妖精達に憧れていたはずの
ふたりの少女の対比がね…素敵なのです。

なんてったって「恋」がテーマですから♪

まだ未読の方はぜひ読んでくださいな。
本ッ当に自信を持ってオススメしますから。
荻原規子さんの空色曲玉が好きな人は
まず間違いなく気に入ると思いますよー。
posted by のあなな at 05:53| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 好きなもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。